第28回伝統太極拳談議サロン 学自修 第二回 H・Sさん
学自修(劉先生登場)
悪戦苦闘&試行錯誤を繰り返し、劉紅年先生の指導のもと、
次第に太極拳に目覚めていく姿を赤裸々に綴ります。
(今回は2回目となります。)
本来なら、劉先生に内容を確認して頂いてから書くのが筋ですが、
あえて、日ごろ心に思っていることをそのまま書きます。従って、
不適切な表現が散見されると思いますがご勘弁ください。
平成22年10月にNHK教室に入り、劉先生に直接指導を受けることに
なります。さらに半年後からは名古屋駅近くの本部道場でも指導を
受けることになります。いよいよ劉先生が本格的に登場してきます。
毎回、劉先生のお言葉をノートに書き留めていました。
(4年半ぐらい)
日付と場所(教室名)、先生のお言葉を黒のボールペンで
記載します。それに対する私の考えを赤のボールペンで書きます。
ノートを開くと、赤い文字でびっしりと試行錯誤した経緯
(苦悩した様子)が綴られています。
今、見ると幼稚。でも、それがあるから現在がある。
私の考えを記載するときのタイトルは「学自修(がくじしゅう)」です。
これは私の「連載記事のタイトル」にもなっています。
「学自修」というのは、楊式太極拳の先人で鄭曼青(てい・まんせい)という有名な方の著書「太極拳自修新法」から「自修」という字を引用し、頭に「学ぶ」という字をつけました。
つまり、「学自修とは、自らの練習(修行)で学んで得たこと。」という意味です。
太極拳は、足や手の形、その動かし方について、名前(太極拳用語)がついています。
足や手の形、その動かし方を口や文章で表現すると長くなりますが、用語を使えば、わずか二文字(まれに三文字)で表現することができます。よく使うものだけでも覚えておくと便利です。また劉先生のお話しを聞くときにも役立ちます。
例えば、ある日、劉先生が「チョウチン」と言われたことがあります。これだけでは意味は分かりませんが、用語を知っていれば「円襠(イェンダン)」だと気付きます。「円襠」の意味が分かれば、劉先生が何を言われたか想像できます。
また、太極拳には方角があります。普段、道場や教室では使いませんが、知っていると、これも便利です。また、足、腰、肩、顔がどの方角に向いているかは大事です。しかも微妙に変化します。方角の意識があると、細かい動きにも注意を払うようになります。
ところで方角に関して、当初からずっと疑問に思っていたことがあります。
楊式太極拳には、三代目の著書と言われる「太極拳体用全書」という秘伝書があります。そこには85式の套路の動きと要点などが細かく書かれています。(和訳されたものでも、とても難解で、中身はまるで分かりませんが。)
問題は蹬脚(ドンジャオ)です。(和訳書を基に要約しますが)蹴りだす方角は東または西です。軸足のつま先は東南、東北、西南、西北のいずれか(つまり斜角の方角)を向くと書かれていました。それは両足の角度が45度に開いているということです。先人の古い写真を見ても、中国の名だたる方々の動画を見ても45度に見えます。
ところが劉先生の動きは、蹴りだす方角は東または西で同じですが、軸足のつま先は南または北を向いています。つまり両足の角度は90度に開いているということです。
「劉先生はなぜ90度なのか。」
3年ほどして自分なりの考え(まだ幼稚)に基づき、劉先生にお尋ねしたことがあります。
劉先生は、笑いながら「ダイタイネ」、実の足について考えみましょう!・・・
と答えられました。つまり「正確に90度ということではなく、概ね90度ぐらい。」という意味と思われます。ここで重要なことは、「両足の角度が90度に開いている。」ことを否定されなかったという点です。
その後もずっと疑問に思っていましたが、最近、漸く(ようやく)、自分なりに結論を見つけることができました。(正しいかどうか別にして)あくまでも個人的な見解ですが、右足を上げる場合を例にして書きます。その時に、右足(虚の足)を上げようとすると、45度の方がやり易い。一方、その時に、右足(虚の足)を上げない(つまり右足を動かさない)で、上げる場合は必然的に90度になります。理由はいたって簡単です。
伝統太極拳をやっている方ならば、誰でも知っていることと思います。(他人が見たら両者は同じように見えますが。)
つま先の僅かな角度の違いですが、ここに至るまでに7年もの歳月が掛かりました。
劉先生の素晴らしいところは、「固定概念にとらわれることなく、
自らの経験で得たことを基に指導されていること。」と思います。
(このことは特に力説したいですね。)素晴らしい先生に指導を受けられて幸せに思います。(決して、お世辞ではありません。)
今回はここまでとします。
次回は「知っていることとは」について書きます。
(乞う、ご期待を)
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伝統楊式太極拳第5代伝人
伝統武式太極拳第6代伝人
中国伝統文化の華である伝統太極拳の普及と継承を目的とし2000年9月名古屋にて設立しました。
楊式太極拳創始者の楊禄禅先師は晩年弟子たちを前に太極拳の究極の目的を話しました。
弟子たちは秘伝の技の伝授を期待して集まっていたが先師の言葉はく「詳問用意終何在,延年益寿不老春」と答えたそうです. 日本語で太極拳の最終的な目的は,「アンチエイジング,心身ともの健康の実」であると。
司馬遷の「史記」によると紀元前3世紀、中国秦の時代に始皇帝の命を受け徐福以下3,000人の童男童女が東方(韓国、日本)に不老不死の霊薬を求めて船出しましたが霊薬は見つかりませんでした。
しかし、現代不老長寿の術はあります。それは太極拳です。
歴史のロマンと現代社会を生き抜く術を学びながら医学的効用について解明を図ってまいります。
医学博士会長 劉 紅年