第29回伝統太極拳談議サロン 学自修 第三回 H・Sさん
(Kさんとの出会い)
悪戦苦闘&試行錯誤を繰り返し、劉紅年先生の指導のもと、次第に太極拳に目覚めていく姿を赤裸々に綴ります。(今回は3回目となります。)
本来なら、劉先生に内容を確認して頂いてから書くのが筋ですが、あえて、日ごろ心に思っていることをそのまま書きます。従って、不適切な表現が散見されると思いますがご勘弁ください。
当初、「知っていることとは」という記事を書く予定でしたが、拳友の皆さん(ほとんどが先輩ですが)の一言や励ましによって、太極拳人生に明かりがさしたという話を書きます。
名古屋駅近くにあった本部道場に通い始めた頃のことです。
傘下にある教室の会員が一堂に集まり合同練習会が名古屋で開催されました。終了後に懇親会が中華料理店で開催され、私も初めて出席しました。丸いテーブルの隣席に座られた女性の方(Kさんとさせていただきます)とお話をすることになりましたが、人と話をするのが苦手だったこともあり、話題に困り、心に思っていることをそのまま正直に話すことにしました。Kさんとは一度もお話をしたことがありません。もちろん名前も知りません。道場で顔を合わせていたと思いますが挨拶すらしたことがありません。
私は、「61歳という高齢で太極拳を始めました。太極拳を上手くなろうと努力しても、高齢のため体力の低下の方が早く、上手くなることができません。その上、2年前に大病を患い救急車で病院に運ばれ絶対安静の状態で長期入院をしていましたので、体力と脚力がなくなり、現在でもゆっくり歩くのが精一杯です。おまけに頭に動脈瘤が残っていますからいつ破裂するか常に不安を抱えています。もう少し早くから太極拳を始めていたらと悔やんでも悔やみきれません。」と話しました。
Kさんは私の話を静かに聞いていましたが、「太極拳を始められたのが遅かったことを後悔されているようですが、本物の太極拳の良さが分かる年齢になって始められたからこそ、熱心にやってらっしゃるのではないですか。もし、もっと若い頃に始めたとしても、今ほど熱心にできないかも知れません。体力に不安があるからこそ、いろいろと工夫や努力をされているのではないですか。劉先生は出会いを大切にされます。61歳になって、劉先生が指導される本物の太極拳に出会ったことに感謝して取り組まれたらいかがでしょうか。」と話されました。
(失礼ですが)Kさんは控えめで、あまり目立たない印象でした。そして一度も話をしたことがないどころか挨拶もしたことがない間柄なのに、入会したばかりの私を「熱心で努力家だ」と見ていたことに驚きました。そして、Kさんは見たところ、年齢は私より二回りぐらい若いと思いますが、おっしゃっていることは正しく、「なるほど」と納得せざるを得ませんでした・・・・・・。
この話しを聞いて自分の愚かさに気付きました。
劉先生が指導される伝統太極拳は、簡単に出来るものではありません。まずは焦らず、試行錯誤を繰り返しながらも、長いスパーン(生涯)をかけて取り組むことにしました。以前は、気持ちにゆとりがありませんでしたが、現在は楽しく感じられるようになりました。
いずれにしましても、生涯をかけて取り組むことができる程の「奥深さと魅力を秘めた本物の太極拳」に巡り合えたことは、私の人生とって素晴らしいことであり、大きな幸せでもあります。Kさんのおっしゃるとおり、こうしたことに「感謝の気持ち」を持つことは大切です。それが「謙虚」にも繋がると思います。Kさんとお話ができたことは、私にとって大きな「進歩」となりました。
まだまだ未熟ですが、「現在の私があるのはKさんのお陰」と感謝しています。今でもその時の様子は鮮明に覚えています。現在は、Kさんに会えば必ず挨拶をしています。実は、Kさんの方から先に(お年寄りを励ますように)声を掛けてくれますが。(Kさん、いつまでも気に掛けて頂きありがとうございます)
以前、このことを劉先生にお話したことがあります。劉先生からKさんのお名前を教えて頂きました。そして「Kさんは苦労された経験があり、お話に説得力がありますね。」ということも。
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伝統楊式太極拳第5代伝人
伝統武式太極拳第6代伝人
中国伝統文化の華である伝統太極拳の普及と継承を目的とし2000年9月名古屋にて設立しました。
楊式太極拳創始者の楊禄禅先師は晩年弟子たちを前に太極拳の究極の目的を話しました。
弟子たちは秘伝の技の伝授を期待して集まっていたが先師の言葉はく「詳問用意終何在,延年益寿不老春」と答えたそうです. 日本語で太極拳の最終的な目的は,「アンチエイジング,心身ともの健康の実」であると。
司馬遷の「史記」によると紀元前3世紀、中国秦の時代に始皇帝の命を受け徐福以下3,000人の童男童女が東方(韓国、日本)に不老不死の霊薬を求めて船出しましたが霊薬は見つかりませんでした。
しかし、現代不老長寿の術はあります。それは太極拳です。
歴史のロマンと現代社会を生き抜く術を学びながら医学的効用について解明を図ってまいります。
医学博士会長 劉 紅年